CKDの
食事療法を学ぶ
栄養の基本 Vol.3
リンについて
今回はリンの説明をさせていただきます。
なぜ「リン制限」が必要なの?
リンは骨や歯を形成したり、エネルギーを蓄えるなど、生命活動に欠かせない栄養素の一つです。腎機能が低下するとリンの排泄がうまくできなくなり、血液中のリンが高くなります。リンが高くなると、骨がもろくなったり、腎臓を傷めたり、血管が硬くなります。
リンを減らすにはどうしたらよいの?
リンはほとんどの食品に含まれ、特にたんぱく質を多く含む肉、魚、大豆製品、乳製品に多く含まれています。たんぱく質が多い食品はリンも多い傾向にありますので、低たんぱく食事療法を行うことで、自然とリンの摂取量を減らすことができます。また、“たんぱく質調整食品”を使うことで、リンの摂取量を抑えることができます。
【例】主食を“たんぱく質調整食品”にかえると
日本食品標準成分表2015年版(七訂)で計算
弊社商品は商品パッケージの栄養成分表示から計算
肉、魚、大豆製品、乳製品は良質なたんぱく質と言われ、からだのための優れた栄養素ですので、極端に減らすことなく、適切な(指示された)たんぱく質量を守って摂取することが大切です。まずは、主食(ごはん、パン、麺類)を“たんぱく質調整食品”に置きかえてみましょう。
リンを多く含む食品は?
前述した通り、たんぱく質が多い食品はリンも多い傾向にありますので、たんぱく質制限をすると、同時にリンを制限することができます。しかし、下記にあげるような食品はリンが比較的多く含まれますので、食べる量と回数に注意しましょう。
★乳製品
牛乳、ヨーグルト、プロセスチーズなど
★卵黄
卵白より多く含まれます
★レバー
同じ肉類でも特に多く含まれます
★ししゃも、めざし、たらこなど
小魚など骨や内臓を丸ごと食べる魚類や魚卵に多く含まれます
また、加工食品(ウィンナー、ハム等)、スナック菓子(ポテトチップス等)などには食味を良くしたり、保存性を高めるために食品添加物のリン酸塩が添加されており、リンが多くなりがちです。これらの食品加工に用いられる食品添加物のリンは、無機リンと言われ、自然食品に含まれる有機リンに比べて体内に吸収されやすい(※)ため、食べすぎには注意しましょう。
※自然食品中の有機リンの吸収率は40~60%に対し、無機リンの吸収率は90%以上であるとされています。
慢性腎臓病のステージ(病期)によって、リン制限が必要になりますが、極端にさまざまな食品を制限するとかえって必要栄養素量が不足する場合もあります。正しい「低たんぱく食事療法」を行っていくことが必要です。
リンの摂取制限は、必ず主治医の指導の下で行ってください。
参考:
「臨床栄養 別冊 栄養指導・管理のためのスキルアップシリーズVol.3 CKDの最新食事療法のなぜに答える 基礎編」(医歯薬出版株式会社)、「臨床栄養 別冊 栄養指導・管理のためのスキルアップシリーズVol.4 CKDの最新食事療法のなぜに答える 実践編」(医歯薬出版株式会社)