かつお

かつおは、お刺身やたたきのほか、かつお節やツナ(缶詰)の原料でもあり、日本人にとって欠かすことのできない魚ですよね。

かつおは日本近海で黒潮にのって太平洋側を春に北上し、秋に南下する回遊魚です。春から初夏に獲れるかつおを「初がつお」と呼び、秋に獲れるかつおを「戻りがつお」と呼び、それぞれ違った美味しさがあります。初がつおは脂質分が少ないため、さっぱりした味わいが特徴で、戻りがつおは脂ののりがよく、濃厚な味を楽しめます。

かつおは良質なたんぱく質の供給源になる食材です。同じかつおでも、春獲りと秋獲りではビタミンやミネラルはそれほど変わりませんが、脂肪分に差が見られます。秋獲りのほうが春獲りよりも脂質が多く、エネルギーが高いのが特徴です。脂ののった秋獲りのかつおには、血液をサラサラにする効果のあるエイコサペンタエン酸(EPA、イコサペンタエン酸:IPAとも呼ばれる)や脳の働きをよくするドコサヘキサエン酸(DHA)といった種類の脂肪酸も含んでいます。これらの脂肪酸は体内ではほとんど作ることができず、食物から摂取する必要があります。
春獲りと秋獲りの成分値は、下表を参考にしてみてください。

かつおの栄養成分値

食品名	重量 (g)	エネルギー (kcal)	たんぱく質 (g)	脂質 (g)	カリウム (mg)	リン (mg)	食塩相当量 (g)
かつお 春獲り-生	30	34	7.7	0.2	129	84	0
かつお 秋獲り-生	30	50	7.5	1.9	114	78	0
日本食品標準成分表2015年版(七訂)

かつおは魚のなかではたんぱく質を多く含む魚です。下表は刺身の種類別の栄養成分値(40g当たり)を比較したものです。刺身は1切10～20gくらいですので、40gの目安は刺身2～4枚くらいです。

刺身の種類別の栄養成分値

食品名	重量 (g)	エネルギー (kcal)	たんぱく質 (g)	脂質 (g)	カリウム (mg)	リン (mg)	食塩相当量 (g)
あじ	40	49	7.9	1.6	144	88	0.1
鯛(養殖)	40	58	8.5	2.4	196	104	0
めばちまぐろ	40	43	9.1	0.5	168	132	0
かつお 秋獲り	40	66	10.0	2.5	152	104	0
かつお 春獲り	40	46	10.3	0.2	172	112	0
日本食品標準成分表2015年版(七訂)

低たんぱく食事療法において、限られたたんぱく質量のなかで、たんぱく質の多いかつおを献立に取り入れる場合は、その分をほかの料理の量を調整しながら、見た目をボリュームアップさせる工夫も必要です。

≪献立に取り入れるポイント≫

〇主食のごはんをゆめごはんなどの低たんぱくごはんにかえて、全体のたんぱく質量を調整するようにしましょう。

〇たまねぎ、大根おろしなどの野菜とあわせてボリュームを出しましょう。

かつおを使用したたんぱく質調整レシピはこちら

かつおのだし茶漬け(PDF/158KB)

レシピのかつおの栄養成分値は「秋獲り」の値で計算しております。初がつおの時期は、下表の「かつお 春獲り(初がつお)の場合」の値を参考にしてください。

栄養成分値(1人分)

	エネルギー (kcal)	たんぱく質 (g)	脂質 (g)	炭水化物 (g)	ナトリウム (mg)	カリウム (mg)	リン (mg)	食塩相当量 (g)
かつお 春獲り (初がつお)の場合	373	9.8	1.8	78.6	447	231	152	1.2
かつお 秋獲り (戻りがつお)の場合	388	9.6	3.5	78.6	445	216	146	1.2
日本食品標準成分表2015年版(七訂)

かつおと野菜の揚げ浸しの献立 ～お刺身をアレンジ～(PDF/939KB)

レシピのかつおの栄養成分値は「春獲り」の値で計算しております。戻りがつおの時期は、下表の「かつお 秋獲り(戻りがつお)の場合」の値を参考にしてください。

栄養成分値(1人分) ◆かつお 春獲り(初がつお)の場合

	エネルギー (kcal)	たんぱく質 (g)	脂質 (g)	炭水化物 (g)	ナトリウム (mg)	カリウム (mg)	リン (mg)	食塩相当量 (g)
ゆめごはん	299	0.1	0.9	72.5	4	0	22	0
かつおと野菜の 揚げ浸し	173	9.0	9.2	11.3	308	300	116	0.8
うど油揚げの辛子 マヨネーズがけ	72	1.8	6.3	2.3	110	90	35	0.3
ソフトアガロリー (アセロラ)	150	0	0	37.5	0	8	2	0
合計	694	10.9	16.4	123.6	422	398	175	1.1
※ソフトアガロリー(アセロラ)のカリウム、リンは上限値で計算しております。
日本食品標準成分表2015年版(七訂)

栄養成分値(1人分) ◆かつお 秋獲り(戻りがつお)の場合

	エネルギー (kcal)	たんぱく質 (g)	脂質 (g)	炭水化物 (g)	ナトリウム (mg)	カリウム (mg)	リン (mg)	食塩相当量 (g)
ゆめごはん	299	0.1	0.9	72.5	4	0	22	0
かつおと野菜の 揚げ浸し	188	8.8	10.9	11.3	306	285	110	0.8
うど油揚げの辛子 マヨネーズがけ	72	1.8	6.3	2.3	110	90	35	0.3
ソフトアガロリー (アセロラ)	150	0	0	37.5	0	8	2	0
合計	709	10.7	18.1	123.6	420	383	169	1.1
※ソフトアガロリー(アセロラ)のカリウム、リンは上限値で計算しております。
日本食品標準成分表2015年版(七訂)

かつおはたんぱく質が多く含まれますので、献立に取り入れるのが難しいという方もいらっしゃるかもしれませんが、工夫次第でたんぱく質を調整した料理を作ることができます。 旬によって味わいが違うのがかつおの魅力です。
ぜひ献立に取り入れてみてください。

参考：「第4版エネルギー早わかり」(女子栄養大学出版部)、「改訂版 腎臓病の食品早わかり」(女子栄養大学出版部)