CKDの
食事療法を学ぶ
食事のポイント Vol.14
低たんぱく食事療法を続けるためのコツ
慢性腎臓病の場合、腎臓の機能をできる限り維持し、低下を遅らせることが大切です。そのためには、薬物療法とあわせて食事療法を継続することが重要です。食事療法では、たんぱく質や食塩を適正にコントロールしながら、適正なエネルギーを確保します。食事は毎日のことなので、ご家族と別のメニューを考えて作るのは手間がかかりますよね。今回のコラムでは、低たんぱく食事療法を続けるためのコツをご紹介いたします。
※食事療法は医師の指導の下で行ってください。
たんぱく質は、肉、魚、卵、乳製品、大豆製品などに多く含まれていますが、ほとんどの食材にも含まれており、ごはんなどの主食にも意外と多く含まれています。まずは主食である「ごはん」を低たんぱくごはんにかえてみましょう。そうすることで、おかずを極端に減らすことなく、たんぱく質を抑えながらエネルギーを確保することができます。
低たんぱくごはん
180gの普通のごはんのたんぱく質は4.5g。
「ゆめごはん1/35トレー」では、0.13gまで減少しています。
ゆめごはん1/35トレー
エネルギー:299kcal
たんぱく質:0.13g
低たんぱく食の調理の負担を軽減するためのポイント
~ご家族と同じようなメニューにするために~
◇ポイント1
ご家族と同じ食材を使用し、味付けを変える。
・自分の食べる分の食材を計量し、小さな鍋やフライパンで別の味付けをしましょう。
・フライパン用アルミホイルで仕切りを作れば、ご家族と同じフライパンで同時に調理することができます。
◇ポイント2
同じ食材を使用し、肉・魚の分量の一部を野菜に置きかえる。
・ハンバーグのひき肉の分量を減らし、その分、刻んだ玉ねぎやなすを使用するとよいでしょう。
・魚の切り身を小さくして、野菜のあんかけ等をあわせるとよいでしょう。
ボリュームがアップし、満足感が得られます。
◇ポイント3
おかずを数回分まとめて作って小分けにして冷凍保存する。調理する野菜や肉を事前に切って、小分けにして冷凍保存する。
・おかずを数回分まとめて作り、1食分ごとに分けて冷凍保存しておくとよいでしょう。その際は、1食分ずつ分けたおかずのたんぱく質量などの栄養量を同じにするため、できる限り食品を均等に分けるようにしましょう。
・食材を購入した際に、肉を15g、20gなど1回ごとに小分けにしてラップで包み、冷凍保存しておくと便利です。
小分けしたものにシールを貼り、日付やたんぱく質量などを書いておくとよいでしょう。
◇ポイント4
たんぱく質の少ない食品を使って不足するエネルギーを補う。
低たんぱく食では、たんぱく質を制限することにより、エネルギー量が不足するケースがよくあります。このような状態が長く続くと栄養障害の原因となりますので、十分なエネルギーを補う必要があります。
・でんぷんで作られている春雨を加えることで、たんぱく質を増やさずにエネルギーを増やすことができます。
例)炒め物、サラダ、スープに
・調味料のなかでも、比較的塩分が少なく、エネルギーがとれるマヨネーズを和え物などに加えるのもおすすめです。
◇ポイント5
食材の切り方を工夫し、見た目の満足感をアップ。
・焼いたお肉を「そぎ切り」にすることで、切り口の表面積が大きくなり、一切れずつを大きく見せることができます。
・うなぎの蒲焼きは細めに切ると、見た目のボリュームがアップします。
「低たんぱく食」だからと一人だけ違うメニューにするのではなく、できるだけ、ご家族と同じレシピと食材を応用して作ることで、調理の負担も軽減することができます。ぜひ、参考にしてみてください。
参考:
出浦照國・樋口久美子「腎臓病のための低たんぱくレシピ」(NHK出版)
佐野川三央子・出浦照國「低たんぱく食でおいしくて、元気」(カザン)
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