CKDの
食事療法を学ぶ
減塩の工夫 Vol.2
減塩と調味料の選び方について
◆腎臓を守るために、血圧をコントロールしましょう!
腎臓病の方の食塩の摂り過ぎは高血圧を招き、腎臓の血管を傷めて、腎臓の機能低下をさらに進めてしまいます。進行を抑えるためにも血圧をコントロールすることは重要です。
食塩に含まれるナトリウムは、血圧を上げる作用がありますので、食塩摂取量を減らすことにより血圧を下げることができますが、なかには食塩摂取量を減らしただけでは血圧が下がらない方がいます。そのような方でも血圧を下げる降圧薬を服用している方は食塩摂取量を減らすことにより、降圧薬の効果を高め、結果として血圧を下げることが期待できます。
血圧管理は腎機能障害の進行を遅らせるだけでなく、合併症を予防するためにも大変重要です。そのため、食塩制限は腎臓病を悪化させず合併症予防のために重要な食事療法の一つとなります。(※1)
◆調味料の摂り方に注意しましょう!
前述の通り、食塩に含まれるナトリウムには、血圧を上げる作用がありますが、調味料に含まれるナトリウムも、食塩を構成するナトリウムと同様に血圧を上げる作用があります。現在、しょうゆ、みそ、ぽん酢など塩分の少ない調味料も発売されていますので、上手に活用するとよいでしょう。但し、塩分が少なくても使う量が多ければ食塩摂取量も増えますので気をつけましょう。また、塩分の少ない調味料のなかにはナトリウムのかわりに塩化カリウムが使われているものもあります。そのような調味料を摂ると血中カリウム濃度が高くなることがあるため、注意が必要です。慢性腎臓病の方でカリウム制限のある場合は、医師にご相談のうえ、カリウム量を考慮した減塩調味料を選択するとよいでしょう。(※2)
◆減塩げんたしょうゆのご紹介
現在、様々なメーカーから減塩しょうゆが販売されておりますが、その中でも弊社の減塩げんたしょうゆは、だしで割ることなく、しょうゆ本来の原料を使い、製法、原料配合などを工夫してナトリウムを減らした「本醸造しょうゆ」です。減塩しょうゆに多い苦みや煮込んだときのえぐみもありませんので、しょうゆ本来の風味を味わっていただくことができます。
減塩げんたしょうゆは通常のしょうゆと比べ、食塩だけでなく、たんぱく質、リン、カリウムも減らしていますので、慢性腎臓病の方にとって、使いやすいしょうゆとなっています。下表も参考にしてみてください。
減塩げんたしょうゆと市販のしょうゆとの栄養成分比較(100g当たり)
しょうゆの種類 | たんぱく質 (g) |
ナトリウム (mg) |
カリウム (mg) |
リン (mg) |
食塩相当量 (g) |
市販のこいくちしょうゆ(*1) | 7.7 | 5700 | 390 | 160 | 14.5 |
市販の減塩しょうゆ(こいくち)(*2) | 8.1 | 3300 | 260 | 170 | 8.3 |
減塩げんたしょうゆ | 3.4 | 2670 | 28.3 | 38.6 | 6.8 |
*1:日本食品標準成分表2015年版(七訂)の「こいくちしょうゆ」
*2:日本食品標準成分表2015年版(七訂)の「減塩しょうゆ(こいくちしょうゆ)」
日本人は塩分を多く含むしょうゆやみそなどの調味料を使った料理を好む傾向にあり、食塩を多く摂り過ぎているのが現状です。
塩分を減らすことは重要ですが、いきなり塩分を減らすと物足りなく味気ない食事になってしまいます。減塩を長続きさせるコツは、塩分を少しずつ減らして舌を徐々に薄味に慣らしていくことです。素材本来の美味しさも、味わえるようになります。(※2)
まずは普段の食事を確認してみましょう。ちょっとした工夫で塩分を減らすことができます。ぜひ、「適塩生活のコツ」のコラムも参考にしてみてください。
美味しく楽しみながら適塩生活を送りましょう。
※1 参考:「第三版 腎不全がわかる本」(出浦照國・日本評論社)
※2 参考:「明解! あなたの処方箋 最新版 本気で治したい人の腎臓病」(富野康日己監修・株式会社学研パブリッシング)