CKDの
食事療法を学ぶ
食事のポイント Vol.7
間食を摂るときのポイント
低たんぱく食事療法において、エネルギーの確保は大切です。
食事の摂取量が減り、エネルギー不足になると、体内では体の組織を燃焼させて必要なエネルギーをつくりだします。そのため、たんぱく質を摂り過ぎたときと同じように尿素窒素などの老廃物が体内にたまってしまいます。
食欲のないときや食事の摂取量が少ないときには、栄養不足にならないようにたんぱく質を抑えつつ、「間食」を上手に取り入れ、適正なエネルギーの摂取を心がけましょう。
今回は低たんぱく食事療法を継続するために、間食を摂るときのポイントをご紹介いたします。
※主治医の指導の下で行ってください。
①間食を選ぶときのポイント
「間食」といえば、食事(朝食・昼食・夕食)以外に摂取する食べ物や飲み物のことで、市販のお菓子や菓子パンなどには糖質や脂質が多く含まれており、エネルギーが摂取できるものもあります。
しかしながら、たんぱく質、カリウム、食塩が多く含まれているものもありますので、間食の種類による栄養成分の特徴を把握して、食べる量や回数を調節しながら上手に取り入れましょう。
●たんぱく質の多いもの
材料に小麦粉、米などの穀類、卵、牛乳・乳製品を使用しているもの
例)ケーキ、カステラ、どら焼き、大福、カスタードプリン、菓子パンなど
●たんぱく質の少ないもの
でんぷんと砂糖を使用したもの
例)くず切り、くずもち、ういろうなど
●カリウムの多いもの
芋、栗、あずきを使用したもの
例)芋かりんとう、干しいも、ポテトチップス、甘栗、どら焼きなど
●塩分の多いもの
塩やしょうゆで味付けしたもの
例)せんべい、串団子(みたらし)、スナック菓子など
包装されているものには栄養成分値(特にエネルギー、たんぱく質、食塩相当量)が表示されていますので確認しましょう。
カリウムは記載されていないことがありますが(カリウムは任意表示です)、たんぱく質を多く含む食品にはカリウムが多く含まれますので、たんぱく質量に注意することで摂り過ぎを防ぐことができます。
メーカーによって栄養成分値の表示に関して差がありますので、あくまでも目安としてご覧ください。
市販のお菓子・菓子パンの栄養成分値の目安
分類 | 食品名 | 目安量 | エネルギー(kcal) | たんぱく質(g) | カリウム(mg) | リン(mg) | 食塩相当量(g) |
洋菓子 | ショートケーキ | 1個90g | 294 | 6.4 | 82 | 99 | 0.2 |
シュークリーム | 1個70g | 160 | 4.2 | 84 | 105 | 0.2 | |
イースト ドーナツ |
1個45g | 174 | 3.2 | 50 | 33 | 0.4 | |
和菓子 | どら焼き | 1個90g | 256 | 5.9 | 108 | 72 | 0.3 |
大福もち | 1個95g | 223 | 4.6 | 44 | 55 | 0.1 | |
栗まんじゅう ※1 |
1個55g | 170 | 3.3 | 34 | 35 | 0 | |
カステラ | 1切50g | 160 | 3.1 | 40 | 48 | 0.1 | |
串団子 (みたらし) |
1本55g | 108 | 1.7 | 32 | 29 | 0.3 | |
芋・栗 | 干しいも | 2枚60g | 182 | 1.9 | 588 | 56 | 微量 |
甘栗 | 5個35g (正味28g) |
62 | 1.4 | 157 | 31 | 0 | |
プリン | カスタード プリン |
1個100g | 126 | 5.5 | 140 | 110 | 0.2 |
せんべい | しょうゆ せんべい |
1枚25g | 93 | 2.0 | 33 | 25 | 0.5 |
芋かりんとう | 10本25g | 119 | 0.4 | 138 | 14 | 0 | |
スナック 菓子 |
クラッカー・ ソーダ |
6枚20g | 85 | 2.1 | 28 | 17 | 0.4 |
ポテトチップス (塩味) |
1/3袋20g | 111 | 0.9 | 240 | 20 | 0.2 | |
菓子パン | あんぱん | 1個80g | 224 | 6.3 | 62 | 59 | 0.6 |
クリームパン | 1個110g | 336 | 11.3 | 132 | 132 | 1.0 | |
ジャムパン | 1個80g | 238 | 5.3 | 76 | 53 | 0.6 |
※1 カリウム、リンは日本食品標準成分表2015年版(七訂)で計算
引用:「腎臓病の食品早わかり 改訂版」(女子栄養大学出版部)、「エネルギー早わかり 第4版」(女子栄養大学出版部)
●たんぱく質が少なく、エネルギーが補給できる間食は……
くず切りやくずもちのようにでんぷんと砂糖を使用したものは、たんぱく質がほとんど含まれず、エネルギーが確保できるのでおすすめです。
食品名 | 目安量 | エネルギー(kcal) | たんぱく質(g) | カリウム(mg) | リン(mg) | 食塩相当量(g) |
くず切り※2 | 乾燥した状 態で20g |
71 | 微量 | 1 | 4 | 0 |
くずもち | 100g | 91 | 0.1 | 1 | 3 | 0 |
ういろう | 1切れ50g | 92 | 0.6 | 9 | 9 | 0 |
※2 たれ含まず。
引用:「腎臓病の食品早わかり 改訂版」(女子栄養大学出版部)
②治療用特殊食品の活用
弊社では、たんぱく質が市販のものよりも少なく、手軽にエネルギーを補給できる間食向きの各種製品を取り揃えておりますので、ぜひご利用ください。
カップアガロリー 1個83g当たり エネルギー:150kcal たんぱく質:0g カリウム:0~14mg リン:0~3mg |
マクトンようかん 1個55g当たり エネルギー:100kcal たんぱく質:0.1g~0.5g カリウム:3.1~30.0mg リン:3.1~4.4mg |
ニューマクトンクッキー 1個9.3g当たり エネルギー:50kcal たんぱく質:0.3g カリウム:4mg リン:3mg |
③治療用特殊食品を使った手作りおやつのご紹介
本ホームページでは、たんぱく質・塩分・エネルギーに配慮した手作りおやつをご紹介しています。ぜひ参考にしてみてください。
治療用特殊食品を使ったおすすめレシピはこちら
→ヨーグルト~キウイゼリー添え~
→くずきりのあんみつ風
→簡単!揚げないラスク
→ゆめごはんでみたらし団子風
いかがでしたか。間食は日々の楽しみにもなりますが、多く摂り過ぎると食事量が減り、必要な栄養素が不足してしまうこともあります。またお菓子の種類によってはたんぱく質、カリウム、塩分を多く摂り過ぎてしまうことにもなります。
低たんぱく食事療法においては、エネルギーの確保、適正なたんぱく質の摂取は非常に大切です。
食事に肉や魚などのたんぱく源をまわすためには間食からのたんぱく質量をなるべく抑えたいものですね。
市販のお菓子や菓子パンを摂る場合は、種類や食べる量、回数を調節して、たんぱく質を調整しながらエネルギーを確保できる治療用特殊食品をうまく取り入れながら間食を楽しみましょう。